五戸町

五戸町手話言語条例

 

 

青森県三戸郡(さんのへぐん)五戸町(ごのへまち)議会は、2022年3月16日、手話が言語であると認める「五戸町手話言語条例」案を全会一致で可決した。施行は4月1日。

 

提案理由

手話が言語であるとの認識に基づき、手話に対する理解及び普及に関する基本的事項を定めることにより、すべての町民が心豊かに共生できる地域社会の実現を目指すため提案するものである

 

同種の条例は、県内では、青森県黒石市弘前市八戸市青森市十和田市藤崎町むつ市つがる市平川市五所川原市三沢市(県内全10市で制定)、鰺ケ沢町に次いで14例目。全国では、439例目

 

五戸町における聴覚障害者(聴覚障害を事由とした障害者手帳所持者)は、56名(内訳は、2級−9名、3級−4名、4級−12名、6級−31名)(2020年3月31日現在)。手話を日常的に使用するろう者は、聴覚障害事由の手帳所持時年齢や聴覚障害者団体関係者からの聞き取りからは、8人程度。

 

パブリックコメントは実施しなかったが、条例作成にあたっては、条項の内容について、先行制定団体の事例等の情報を基に、地元聴覚障害者関係団体の協力を得ながら協議・検討を行い、条例案を作成のうえ制定に至った。

 

若宮 佳一 町長

若宮佳一町長

 

 条例成立を受けて、若宮佳一町長は、手話で、「五戸町が大好きな若宮佳一です」と表現、「こういうふうに、町民一人ひとりが自分を手話で表現できるようになれば、もっと手話が浸透していくのかなと」と語った。

 

 五戸町聴覚障害者の会の栗山浄璽代表は、「明るくあいさつができる町、皆さんと交流がスムーズにできるような町になってほしいと願っております」と喜びの言葉を述べた。

 

3月10日には、鰺ケ沢町でも手話言語条例案を可決。これで、青森県と県内13の全市と2町で条例が制定されたこととなった。

 

また、五戸町出身の聴覚障害者による世界デフリンピック陸上選手権(2021年8月、ポーランド)金メダリストの佐々木琢磨選手は、「多様性を認め合う環境づくりのきっかけとなる、大きな一歩だと思うのでうれしいです」とコメントした。

 

町は、1889(明治22)年4月1日、町村制施行により近世以来の五戸村が単独で自治体として発足し、115年(大正4年)11月1日、五戸村が町制を施行し五戸町となる。

 

1955昭和30)年7月1日、五戸町、浅田村(あさだむら)、川内村(かわうちむら)が合併し五戸町となり、2004平成16)年)7月1日、合併により倉石村を編入し現在に至る。

 

町は、三戸郡北部の内陸部に位置する。町内は坂が多い。総面積の半分以上を森林が占める。古くから馬産地として知られ、米、りんご、野菜を基幹作物として葉たばこ、畜産等との複合経営による農業が基幹産業であるが、八戸地区新産業都市の指定を受けて以来、地蔵平工業団地に企業誘致を進め、農工併進の町として発展している。

 

人口は、16,345人(男;7,887人/女;8,458人)、7,003世帯(2022年3月1日現在)。

 

 

五戸町手話言語条例

 

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、地域において手話への理解及び普及を通じ、手話の使用しやすい環境の構築に関して、基本理念を定め、心豊かに暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

 

(定義)

第2条 この条例において「ろう者」とは、手話を言語として日常生活又は社会生活を営む者をいう。

 

(基本理念)

第3条 ろう者及びろう者以外の者が、相互に人格及び個性、特性を尊重しあいながら心豊かに共生することを基本として、ろう者の意思疎通を行う権利を尊重し、手話の普及を図るものとする。

 

(町の役割)

第4条 町は、前条の基本理念にのっとり、手話及び手話に関わる者への理解を深め、ろう者があらゆる場面で手話を使用し、自立した日常生活や地域における社会参加をするための必要な施策を推進するものとする。

 

(町民の役割)

第5条 町民は、基本理念に対する理解を深め、手話に関する町の施策に協力するよう努めるものとする。

ろう者及びその支援者は、手話に関する町の施策に協力するとともに、手話に対する理解の促進及び手話の普及に努めるものとする。

 

(施策の推進等)

第6条 町は、第4条の役割を果たすため、次に掲げる施策を推進するものとする。

(1) 手話への理解及び普及促進に関する施策

(2) 手話による意思疎通の支援に関する施策

(3) 前2号に掲げるもののほか、町長が必要と認める施策

町は、施策の策定、見直し等をするときは、必要に応じて、ろう者その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するものとする。

 

(財政上の措置)

第7条 町は手話に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

 

(委任)

第8条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。

 

 

この条例は、令和4年4月1日から施行する

 

 

 

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