門真市文化や情報とふれあう手話言語条例

 

 

大阪府門真(かどま)市議会は、2022年12月14日、「手話は言語である」という認識のもと、手話に接する機会を広げ、手話言語やろう者に対する理解を促進することにより、障がいの有無にかかわらず、全ての市民が暮らしやすく、地域で支え合う福祉の心あふれる思いやりのあるまちを目指す「門真市文化や情報とふれあう手話言語条例」案を可決した。施行は2023年4月1日。

 

同種の条例は、大阪府では、大阪府大東市大阪市熊取町堺市岬町貝塚市寝屋川市藤井寺市富田林市四条畷市岸和田市和泉市東大阪市羽曳野市高槻市柏原市大阪狭山市交野市松原市枚方市河内長野市についで、23例目。全国では、460例目

 

2022年1213日の総務建設常任委員会の委員会審査報告は、以下の通り。

 

○議案第60号 門真市文化や情報とふれあう手話言語条例の制定について

 

(議案の内容)

手話が言語であるという認識に基づき、手話の普及並びに手話が言語であること及びろう者に対する理解の促進に関する基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、手話に関する施策の基本的事項を定めることにより、ろう者とろう者以外の者が共生することのできる地域社会を実現する。

 

(主な質疑と答弁)

問 市民や事業者等が条例の基本理念に対する理解を深め、ろう者が利用しやすいサービスの提供等を可能とするため、市が考える取組は。

 

答 市民や事業者等の手話に対する理解をより深めるため、手話言語条例制定のパンフレットの作成、市広報紙並びにホームページなどでの手話の啓発、市内施設職員及び利用者等を対象とした手話講習会の実施を検討している。

また、引き続き、毎年12月の障がい者週間において、市民等にろう者をはじめ障がい者への理解を広めるため、合理的配慮や障がい者雇用等について周知していく。あわせて、毎年、手話に興味のある市在住・在勤の方を対象とした手話奉仕員養成講座の実施及び公的機関や病院等の外出先に手話通訳者を派遣しており、言語としての手話の周知並びにろう者が生活しやすい環境整備に努めていく。

 

問 条例制定後に新たに検討している施策等は。

 

答 手話が言語であること並びに広く手話及びろう者に対する理解を深めるため、新たな手話講習会の実施や動画作成等を検討しており、ろう者とろう者以外の人との意思疎通がしやすい環境づくりの推進に努めていく。

 

(討論) なし

 

(結果) 全員異議なく原案のとおり可決

 

市は、2022812(金曜日)から年831(水曜日)まで、パブリックコメントを行い、9名から9件の意見が出された。(意見

 

 

門真市文化や情報とふれあう手話言語条例

 

手指や体の動き、顔の表情を使って視覚的に表現するコミュニケーション手段が手話です。

手話は、古くから使用されていますが、長らく言語として認められなかったことや、手話を使用できる環境が十分に整えられなかったことなどから、地域、職場、学校などにおいてろう者は、十分なコミュニケーションを図ることや必要な情報を得ることができず、多くの不便な思いや不安を抱えながら生活してきました。

こうした中、平成18年に国際連合総会において障害者の権利に関する条約が採択され、我が国においても、平成23年に障害者基本法が改正されたことにより、「手話は言語である」と位置付けられました。しかしながら、いまだ手話に対する理解が十分に広まっているとは言えません。

門真市は、「手話は言語である」という認識のもと、手話に接する機会を広げ、手話言語やろう者に対する理解を促進することにより、障がいの有無にかかわらず、全ての市民が暮らしやすく、地域で支え合う福祉の心あふれる思いやりのあるまちを目指し、この条例を制定します。

 

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるという認識に基づき、手話の普及並びに手話言語及びろう者に対する理解の促進に関する基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、手話に関する施策の基本的事項を定めることにより、ろう者とろう者以外の者が共生することのできる地域社会を実現することを目的とする。

 

(定義)

第2条 この条例において「ろう者」とは、日常生活又は社会生活において手話を主なコミュニケーションの手段として用いる聴覚障がい者をいう。

 

(基本理念)

第3条 手話の普及並びに手話言語及びろう者に対する理解の促進は、ろう者が手話によりコミュニケーションを図る権利を有することを前提に、その権利を尊重することを基本として行わなければならない。

 

(市の責務)

第4条 市は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、手話の普及並びに手話言語及びろう者に対する理解の促進に努めるとともに、日常生活及び社会生活において手話を使用しやすい環境を構築することにより、ろう者の自立及び地域における社会参加の促進に寄与できるよう努めるものとする。

 

(市民の役割)

第5条 市民は、基本理念に対する理解を深め、手話に関する市の施策に協力するよう努めるものとする。

 

(事業者の役割)

第6条 事業者は、基本理念に対する理解を深め、ろう者が利用しやすいサービスを提供できるよう努めるとともに、ろう者が働きやすい環境を構築するよう努めるものとする。

 

(施策の推進)

第7条 市は、次に掲げる事項を基本として、手話に関する施策を推進するものとする。

⑴ 手話の普及並びに手話言語及びろう者に対する理解の促進に関する事項

⑵ 手話による情報発信及び情報取得に関する事項

⑶ 手話による意思疎通の支援に関する事項

⑷ 教育の場における手話に対する理解の促進に関する事項

⑸ 前各号に掲げるもののほか、市が必要と認める事項

2 市は、手話に関する施策を推進するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

 

(意見の聴取)

第8条 市は、必要がある場合は、ろう者その他関係団体から意見を聴き、手話に関する施策を推進するものとする。

 

(委任)

第9条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

 

附 則

この条例は、令和5年4月1日から施行する。

 

 

門真市は大阪府北東部、北河内地域に位置し、市域は東西4.9キロメートル、南北4.3キロメートルで、面積は12.30平方キロメートル。

 

もともと穀倉地帯で、よく知られている河内蓮根(レンコン)が特産物であったが、宅地造成により、農村地帯から産業都市へと移行、現在は東大阪工業地帯の重要な位置を占めている。

 

また、通勤通学の足として、北部を京阪電車が走り、市内に西三荘・門真市・古川橋・大和田・萱島駅、南部には、地下鉄長堀鶴見緑地線の門真南駅、西部には、大阪モノレール門真市駅と狭い市域に7つの駅があり、主要道路には、京阪・近鉄のバス網がある。

 

幹線道路としては、中央部を東西に国道163号が横断、西部を南北に府道大阪中央環状線や近畿自動車道が縦断しており、2010年には第二京阪道路が全線開通し、門真市の産業発展に大きな役割を果たしている。

 

なお、江戸時代には古川の流れも定まり、京や大阪に近い立地の重要性から市内の約8割以上が天領となり、直接江戸幕府の支配を受け、豊かな水郷農村として近世集落が形成され、「段蔵(だんぐら=淀川下流域の低湿地にみられる農家の蔵)」や竹筒などで水を引き入れたり,流水を利用して音を立てる「バッタリ」などの人々の知恵と工夫が生み出され、江戸時代後期には菜種や木綿の栽培でも発展を遂げ、蓮根栽培も活発になっていたた。

 

 

 

 

 

 

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