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 手話の普及や耳が不自由な人への理解を進めることなどを盛り込んだ山形県新庄市の「手話言語条例」案が、最上地方に住む聴覚障害者団体のメンバーなど17人が見守る中、2021年12月14日、市議会で満場一致で可決され、即日公布・施行された。

 

 山形県のほか、県内の市町村で「手話言語条例」が制定されるのは、中山町に次いで2例目。全国では、427例目

 

 条例には、手話を言語と位置づけ、市が手話を学ぶ機会を作ったり、耳が不自由な人への理解を深めたりするための施策を進めることなどが盛り込まれ、今月3日に開会した12月の定例議会に提案されていた。
 

 新庄市在住で、山形県聴覚障害者協会相談役の小野善邦さんは「新庄市でも条例が制定されて大変うれしい。耳が不自由な人との交流を通して理解を深めていただくとともに、手話が普及することを期待している」と話していた。

 

 また、新庄市の山尾順紀市長は「市の責任として市民に広報・啓発しながらみんなが暮らしやすい社会にしていきたい」と話した。

 

 市では今後、条例について市民に周知するパンフレットを作成したり、市職員を対象にした手話の研修会などを開催したりする予定。


 提案理由は、「手話に関する施策を総合的かつ計画的に推進することにより、ろう者とろう者以外の者が共生する地域社会の実現に寄与するため。」

 

 市の手話を日常的に使用するろう者は、12名(2021年12月14日現在)。聴覚障がい者は、157名(2213月末現在)。

 

 新庄市は、山形県の北東にある市である。

 

日本三大急流のひとつとして知られる広大な最上川の舟運(しゅううん)によって日本海側と太平洋側を結ぶ交通の物資輸送の大動脈として、奈良時代から大いににぎわっていたことが万葉集に記されている。

 

江戸時代は新庄藩が置かれ、戸沢氏6万石の城下町であった。一方で江戸時代に整備された脇往還(わきおうかん)の1つである羽州街道(うしゅうかいどう)の宿場町でもあり、市南部の本合海集落(もとあいかいしゅうらく)は最上川水運の主要積出港であった。磐根(いわね)街道(現国道47)が開削される明治時代初頭までは庄内町清川(しようないまちきよかわ)まで道路がなかったため、本合海河港からの舟運が唯一の交通手段であったという。

 

1903(明治36)年には、新庄にとって初となる鉄道「奥羽線(現山形新幹線)」が敷かれ新庄駅が開業、以降、1914(大正3)年に陸羽西線開通、1917年には陸羽東線開通と日本海と太平洋を結ぶ鉄路が敷かれたことにより新庄で鉄路が交差し、また、道路も国道13号と国道47号が交差することから「東北の十字路」と呼ばれ交通の要衝となった。こにように新庄市は古くから「人とモノが行き交うまち」として栄え続けてきた。

 

このほか岩手県遠野(とおの)市と並ぶ東北地方随一の民話の宝庫としても知られ多くの民話の語り部による民話の伝承、記録が盛んに行われており毎年「みちのく民話まつり」が開催されている。

 

近年では早稲田大学や玉川大学のバイオマス研究施設、山形大学の自然に関する教育研究活動や講座を行う「エリアキャンパスもがみ」が開設されるなど研究施設の進出も行われている。

 

また、新庄は、豪雪地帯のため、冬期間は鮮魚の入手が困難たったため、雪解けと共に入荷するカドを焼いて酒を酌み交わし、春の到来を喜びあったといい、今日では、新庄の春の風物詩になっている。カドとは、「鰊(ニシン)」のこと。 東北地方では、産卵のために押し寄せるニシンが門口で獲れたことからカドと呼ぶようになったと言われ、春の産卵期に北方の海に現れることから「春告魚(はるつげうお)」とも呼ばれている。

 


新庄市手話言語条例をここに公布する。

  令和3年12月14日

                   新庄市長  

新庄市条例第23号

 

新庄市手話言語条例

 手話は、音声言語とは異なる独自の体系を有し、手指及び体の動き並びに表情を使って視覚的に表現する言語である。また、手話は、物事を考え、互いを理解し合い、知識を蓄え、社会生活を営むための言葉として、ろう者が長年に渡って大切に育んできた言語である。


 しかしながら、過去には手話が言語として認められず、また、手話を使用する環境も整備されてこなかったことから、ろう者は、必要な情報を得ることや意思疎通を図ることが難しく、多くの不便と不安を抱えながら生活してきた。


 こうした中で、平成18年に国際連合総会で採択された障害者の権利に関する条約や平成23年に改正された障害者基本法において、手話が言語であることが明記されたが、手話に対する理解や普及は深まっているとは言い難い状況にある。


 このため、手話に対する理解や普及を推進することにより、ろう者とろう者  以外の者とが互いを理解し合い、ともに支え合い、このまちの豊かな自然や伝統文化を感じ、伝えていくことのできる共生社会の実現を目指し、この条例を制定する。

 (目的)
第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話及びろう者  (聴覚障害者であって手話を使い日常生活を営む者をいう。以下同じ。)に対する理解の促進並びに手話の普及に関し、基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、手話に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もってろう者とろう者以外の者が共生する地域社会の実現を目的とする。

 (基本理念)
第2条 手話及びろう者に対する理解の促進並びに手話の普及は、手話が言語であるとの認識に基づき、市民が手話により意思疎通を行う権利を尊重することを基本として行われなければならない。

 (市の責務)
第3条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、手話及びろう者に対する理解の促進並びに手話の普及を図るものとする。

 (市民の役割)
第4条 市民は、基本理念にのっとり、手話及びろう者に対する理解を深めるとともに、市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。
2 ろう者は、基本理念に対する市民の理解の促進及び手話の普及に努めるものとする。

 (事業者の役割)
第5条 事業者は、基本理念にのっとり、手話及びろう者に対する理解を深め、市が推進する施策に協力するよう努めるとともに、ろう者が利用しやすい  サービスの提供及びろう者が働きやすい環境の整備に努めるものとする。

 (施策の推進)
第6条 市は、次に掲げる施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。
 (1) 手話及びろう者に対する理解の促進並びに手話の普及に関する施策
 (2) 手話による情報の取得及び手話を使いやすい環境づくりに関する施策
 (3) 手話を学ぶ機会の提供に関する施策
 (4) 手話による意思疎通の支援に関する施策
2 市は、前項の規定による施策の推進に当たっては、ろう者その他の関係者の意見を聞くため、これらの者との協議の場の確保に努めるものとする。

 (財政上の措置)
第7条 市は、手話に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

附 則
 この条例は、公布の日から施行する。

 

 

新庄市の「手話言語条例」可決 耳の不自由な人への理解深める(2021年12月15日配信『NHKニュース』)

 

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中山町で手話の普及を図る「手話言語条例」可決 県内初(2021年12月10日配信『NHKニュース』)

 

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