2022年3月24日、愛知県高浜市(たかはまし)議会は、手話は言語であるとの認識に基づき、手話の普及と手話が使いやすい環境を整備するために、ろう者を含むすべての人がお互いに尊重し合い、心豊かに共生することができる地域共生社会の実現を目指す「高浜市手話言語条例」案を可決した。施行は4月1日。

 

 同種の条例は県内では、愛知県常滑市稲沢市知立市蒲郡市西尾市大府市知多市豊田市幸田町についで11例目。全国では442例目

 

 市は、2022年1月13日(木曜日)から27日(木曜日)までパブリックコメントを行い1人から1件の意見が出された。

 

 

 

高浜市は、日本のほぼ中央にある愛知県三河平野の南西部に位置している。中部地方の中心都市である名古屋市から南東へ25キロメートルのところにあって、東は安城市、西は衣浦港をへだてて半田市、南は碧南市、北は刈谷市に接している。

 

 東西4.2km南北5.5km面積は13.11平方kmで、地質については、洪積地と沖積地に分けられますが、大部分は洪積地からなっており、比較的新しい第4紀層新世代の発展したもので、標高5mの洪積台地と河川流域及び海岸一帯の沖積層の標高2mの低地よりなっており、海岸線は延長5.4kmにおよび衣浦大橋によって知多半島と結ばれている。

 

窯業が盛んで、「日本三大瓦」に数えられる三州瓦の主産地として知られおり、瓦を専門とする全国で唯一の美術館で、国際的にも珍しいとされる1995年(平成7年)10月7日に開館した高浜市やきものの里かわら美術館がある。

 

200(令和2)年12月、市制施行50周年(12月1日)を迎えた。

 

 

 人口は、49,339人(男;25,721人/女23,618人)、        21,025世帯(2022年3月1日現在)。

 

2019(令和元)年度末現在、本市の体障害者⼿帳所持者は1,312となっており、2015年度以降の推移をみると、やや減少傾向にあるが、きな変化はみられない。

 

高浜市障がい者福祉計画(第5次)

 

 

 

高浜市手話言語条例

 

言語は、お互いの感情を理解し合い、知識を蓄え、文化を創造する上で不可欠なものであり、人類の発展に大きく寄与してきました。手話は、手指や体の動き、表情などを用いる独自の語彙及び文法体系を持つ非音声言語です。 

ろう者は、手話を思考と意思疎通を図るために、また、知識を蓄え、文化を創造するために必要な独自の言語として大切に受け継いできました。 

しかしながら、これまでの長い歴史の中で、手話は言語として認められず、ろう者は苦難を強いられてきました。 

こうした中、障害者の権利に関する条約(平成26年条約第1号)や平成23年に改正された障害者基本法(昭和45年法律第84号)において、手話が言語であるとの位置づけが制度的には確立されました。しかしながら、その認識は、いまだ十分に深まっているとは言い難い状況にあり、手話を通じて十分なコミュニケーションを図ることができる環境を整備する必要があ

ります。 

高浜市は、手話の意義を正しく認識し、手話が言語であることの理解を広めることで、手話によるコミュニケーションと情報提供を保障し、ろう者とろう者以外の者が共生し、安心して暮らすことができる地域共生社会の実現を目指すため、この条例を制定します。 

 

(目的) 

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話への理解の促進及び手話の普及に関する基本理念を定め、市の責務並びに市民、ろう者及び事業者の役割を明らかにするとともに、手話に関する施策の基本的事項を定めることにより、ろう者とろう者以外の者が共生することのできる地域共生社会を実現することを目的とする。 

 

(定義) 

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。 

(1) ろう者 聴覚の障害により、手話を言語として日常生活又は社会生活を営む者をいう。 

(2) 手話通訳者 ろう者とろう者以外の者との間で、手話によりコミュニケーション支援を行う者をいう。 

(3) 市民 市内に住所を有する者及び市内に通勤し、又は通学する者をいう。 

(4) 事業者 市内で事業を営む法人その他の団体及び個人をいう。 

 

(基本理念) 

第3条 ろう者が、自立した日常生活を営み、全ての市民と相互に人格と個性を尊重しあいながら、心豊かに共生することができる地域共生社会の実現を目指すものとする。 

2 手話が言語であることを認識し、手話への理解の促進及び手話の普及を図り、手話でコミュニケーションを図りやすい環境を構築するものとする。 

3 ろう者は、コミュニケーションを円滑に図る権利を有し、その権利は尊重されなければならない。 

 

(市の責務) 

第4条 市は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、手話への理解の促進及び手話の普及を図るための施策を総合的かつ計画的に実施するよう努めるものとする。 

 

(市民等の役割) 

第5条 市民は、基本理念にのっとり、ろう者のコミュニケーションにおける手話の必要性についての理解を深めるよう努めるものとする。 

2 ろう者は、基本理念にのっとり、主体的に手話の普及に努めるものとする。 

3 事業者は、基本理念にのっとり、ろう者が利用しやすいサービスの提供及び働きやすい環境の整備に努めるものとする。 

 

(手話に関する施策) 

第6条 市は、次に掲げる施策の推進に努めるものとする。 

(1) 手話への理解の促進及び手話の普及に関する施策 

(2) 手話によるコミュニケーション及び情報取得に関する施策 

(3) 前2号に掲げるもののほか、市長が必要と認める施策 

 

(協議の場) 

第7条 市は、手話に関する施策を定める場合(これを変更する場合を含む。)又は手話に関する施策を適切に実施するため必要がある場合は、ろう者、手話通訳者その他関係者から意見を聴くため、協議の場を設置するものとする。 

 

(委任) 

第8条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。 

 

附 則 

この条例は、令和4年4月1日から施行する。

 

 

高浜市議会だより2020年3月1日

 

神谷直子議員

 

 

           2019(令和元)年12月高浜市議会定例会会議録(第3号)

○議長(北川広人) 2番、神谷直子議員。

 

○2番(神谷直子) では次に、現在の高浜市の取り組みを確認しておきたいと思いますが、高浜市における手話を初めとしたコミュニケーション手段に関する支援の現状を教えてください。

 

○議長(北川広人) 介護障がいグループ。

 

○介護障がいG(野口恒夫) 最近の取り組みでは、従来実施していました手話奉仕員養成講座から、平成28年度からはレベルアップを目指す方を対象に碧南市と共同で手話奉仕員ステップアップ講座を実施しております。また、支援策では、学校行事や病院受診の際に手話通訳が必要な際は手話通訳者を派遣するほか、毎週金曜日の午前中、いきいき広場内に手話通訳者1名を配置し、各種相談を行っております。手話の普及促進と手話が必要な方には手話を通じてコミュニケーションがとれるような環境整備に努めているところでございます。

 

○議長(北川広人) 2番、神谷直子議員。

 

○2番(神谷直子) 市としてさまざまな取り組みを行っていることをお聞きし、安心しました。私も実際に手話を利用している方の御講演をお聞きしたことがあります。条例制定に向けて、さまざまな活動を行っているとのお話でした。手話言語については市議会も深いかかわりがあり、平成26年6月議会において手話言語法の制定を求める陳情が提出され、全員賛成により採択されているとお聞きしています。当時の意見書の趣旨は、手話が音声言語と対等な言語であることを国民に知っていただくこと、そして聞こえない子供が手話を身につけ、手話で学べ、自由に手話が使えることを求めるものでした。今回は

法律ではなく条例制定でございますが、先輩議員が採択された思いも大切にしていきたいと思います。

次に、当局におかれても手話言語に関する取り組みを始めたとお聞きしましたが、どのようなことか教えていただけますか。

 

○議長(北川広人) 介護障がいグループ。

 

○介護障がいG(野口恒夫) 本市では、手話言語条例を初め、手話等に関する関連施策について全国の市区町村と情報交換を行うことを目的に、平成30年7月に全国手話言語市区長会に加入をいたしました。この全国手話言語市区長会では、手話言語法や情報コミュニケーション法の制定と手話関連条例の拡充を通じて、聴覚障がい者の自立と社会参加の実現を目指すとともに、手話等に関する関連施策の情報交換等を行うことを目的としております。現在、全国で553市区長、9町村長が入会しており、愛知県では17市が入会をしてございます。近隣では半田市、知立市、西尾市が入会しているというふうになっております。

 

○議長(北川広人) 2番、神谷直子議員。

 

○2番(神谷直子) ありがとうございます。

 

次に、手話言語が必要となる当事者団体についてお伺いします。

当事者団体の方の御要望はどのようになっているのでしょうか。

 

○議長(北川広人) 介護障がいグループ。

 

○介護障がいG(野口恒夫) 当事者団体である西三河聴覚障害者団体連絡協議会と碧南高浜聴覚障害者協議会からは、連名で手話言語条例制定のお願いという要望を8月にいただいているところでございます。その内容は、既に全国で279自治体が手話言語条例を制定しており、高浜市においても制定をお願いすること、また条例制定に当たっては、団体との話し合いの場を設けていただきたい、この2点について要望をいただいているところでございます。

 

○議長(北川広人) 2番、神谷直子議員。

 

○2番(神谷直子) 県内各市の状況や高浜市が全国手話言語市区長会に加入されたことをお聞きすると、条例制定に向けた機運が高まっていることを実感いたします。手話に対する理解を身近な地域で広げていくため、また、手話を使って聾者を含む全ての市民がともに地域で安心して暮らすことができる市を目指すためにも、住民に身近な存在である市が具体的な取り組み内容を明らかにしていくためにも条例制定が必要と考えます。ぜひ、当事者の思いも大切にしていただき、条例の制定を進めていただくことをお願いいたします。

それでは、次に、視覚に障がいのある方についてお聞きます。

以前、色覚特性についてお聞きしました。今回はもう少し重たい方についてです。

視覚に障がいのある方の道しるべとなる視覚障がい者誘導用ブロック、いわゆる点字ブロックは、人に優しいまちづくりには重要な施設であると思っています。三河高浜駅周辺には点字ブロックが大変よく整備されております。この市役所の周辺にもありますが、その背景についてまず

お聞きいたします。

 

○議長(北川広人) 都市政策部長。

○都市政策部長(杉浦義人) お尋ねの三河高浜駅周辺でございますが、こちらにつきましては市街地再開発事業として駅東地区約0.7ヘクタールと駅西地区約1.5ヘクタールを高齢者、障がい者のほか、全ての人が使いやすいユニバーサルデザインを取り入れ、整備を行ったものでございます。

 

○議長(北川広人) 2番、神谷直子議員。

 

○2番(神谷直子) ありがとうございます。

では、三河高浜駅周辺からどのような施設をネットワークで結んでいるのかお聞きいたします。

 

○議長(北川広人) 土木グループ。

 

○土木G(杉浦睦彦) 視覚障がい者誘導用ブロックによる施設間のネットワーク状況についてお答え申し上げます。

視覚障がい者用誘導ブロックによる動線は、いきいき広場、市役所、高浜郵便局、高浜中学校へアクセスする県道三河高浜停車場線、主要地方道名古屋碧南線及び岡崎半田線、市道では三高駅東線に視覚障がい者用誘導ブロックの配置をしております。

以上でございます。

 

○議長(北川広人) 2番、神谷直子議員。

 

○2番(神谷直子) ただいまの答弁をお聞きしますと、例えば、三河高浜駅から高浜郵便局に行く場合、東口からだと近いのだけれども、高浜中学校までしか点字ブロックがないので、一旦駅の西口から高浜市役所東交差点を経由して大きく迂回しないといけなくなります。

市街地再開発事業により、駅東口が設置され、沢渡町・稗田町・湯山町にお住まいの方々の利便性が向上しました。岡崎半田線と三河高浜駅東線との間をつなぐ南北道路への設置が必要と思われます。今後、視覚障がい者のための点字ブロック網を充実されるお考えがあればお聞かせください。

 

○議長(北川広人) 都市政策部長。

 

○都市政策部長(杉浦義人) 議員御指摘のとおり、碧南高浜線といった南北方向道路への視覚障がい者誘導ブロック配置が現在脆弱となっております。今年度、視覚障がい者誘導ブロックを設置する歩道幅員や視覚に障がいのある方の利便性等を考慮しながら、まずは設計業務を進めまして、来年度以降に整備のほうを進めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。

 

○議長(北川広人) 2番、神谷直子議員。

 

○2番(神谷直子) ありがとうございました。

南北方向への点字ブロックの設置を検討されているということをお聞きして、私も三河高浜駅を利用する一人として、とても安心いたしました。

1点だけお願いをいたしたいと思います。

点字ブロックは視覚障がいのある方にとっては大切な道しるべでございます。その大切な、大事な道しるべの上や周囲に車や自転車、看板などがあると大変危険です。当局、とりわけ道路管理者の方々には、整備された後もこういった障害物が道路上に置かれないよう、指導をぜひお願いをいたします。

今回は、令和2年度予算編成に向けた市政クラブの政策提言について「第6次高浜市総合計画アクションプラン」目標5「子育ち・子育てを支える環境を整えます。」についてと、目標「一人ひとりを認め合い、その人らしく暮らせるまちづくりを進めます。」について質問をさせていただきました。弱者に優しいまちは誰にとっても優しいまちになります。

この秋に会派の視察で行かせていただきました第2回地域共生全国サミットで、次回の開催地でもあります鎌倉市の市長が登壇されたときに、こんなお話をしてくださいました。鎌倉市にある、あるビーチをユニバーサルビーチにされたそうです。車椅子の方にも夏の海水浴を楽しんでもらおうという発想だったそうですが、もちろん、車椅子ユーザーの方、御家族の方、とてもお喜びになったそうです。ですが、赤ちゃん連れのベビーカーを御利用される方、高齢で手押し車を御利用の方など、さまざまな方がお喜びになったことをお聞きしました。

また、私は先日ユーチューブで、視覚に障がいがあり、目の見えない方がスケートボードに挑戦している姿を見かけました。彼は、白いつえの先がボールになってころころ転がるんですけれども、地面の凹凸がよくわかるつえを利用していました。それを使うと、階段の段差でも滑るようにスケートボードを楽しんでみえました。また、私の友人のお父様は、目が見えなくてもゴルフを楽しみます。しかも、私の友人よりお上手だそうです。

障がいや特性はあるし、なくなることはないけれども、工夫によって感じることをできないようにすれば、障がいだと感じることが少なくなります。これは、まさしくバリアがとれた状態、バリアフリーになります。

今回は、声を上げにくい市民の代弁者としてさまざまお聞きいたしました。誰にとっても住みよいまち、高浜になるように、今後も高浜市政を私たち市政クラブは一丸となって支えていきます。当局の皆様方もよろしくお願いいたします。

これで私の一般質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

 

○議長(北川広人) 暫時休憩いたします。再開は15時10分。

午後2時59分休憩

 

 

 

 

 

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