大分県日田市 Hita City

 

日田市手話言語条例

 

 

 2022年3月25日、福岡県日田市議会は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話への理解の促進、手話の普及及び手話による円滑な意思疎通の支援に関する基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、市の施策の基本となる事項等を定めることにより、手話を通じて全ての市民が相互に人格及び個性を尊重し、地域で安心して暮らすことのできる社会を実現することを目的とする『日田市手話言語条例』案を可決した。公布は、3月26日、施行は4月1日。

 

 同種の条例は、県内では大分県津久見市豊後大野市宇佐市中津市豊後高田市別府市大分市杵築市佐伯市竹田市に次いで12例目。全国では446

 

パブリックコメント(意見考え方)

 

提案理由

手話が言語であるとの認識に基づき、手話の普及等に関する施策の基本となる事項を定め、手話を通じて全ての市民が相互に人格及び個性を尊重し、地域で安心して暮らすことのできる社会の 実現を図るため、所要の事項を定めること。

 

条例の概要

 

手話は、「障害者の権利に関する条約」や「障害者基本法」において言語として位置づけられ、 「日田市障がいによる差別を解消し誰もが心豊かに暮らせるまちづくり条例」においても、手話を言語の一つととらえ、意思疎通のための利用や機会の拡大を図ることとしています。

しかし、手話が日常の様々な場面にまで普及し、ろう者が不便や不安を感じることなく暮らすことのできる社会の実現には十分至っているとは言えない現状があります。

このような状況を踏まえ、手話への理解の促進と手話の普及をこれまで以上に推進し、ろう者が手話を使って地域で安心して暮らすことができることを目指し、この条例を制定するものです。

 

 日田市は大分県の西部、福岡県と熊本県に隣接した北部九州のほぼ中央に位置し、周囲を阿蘇、くじゅう山系や英彦山系の美しい山々に囲まれ、これらの山系から流れ出る豊富な水が合流する日田盆地と緑豊かな森林や丘陵地で市域が形成されている。気候は、内陸特有の性質から寒暖の差が大きく、雨量も多いことから、四季の移ろいがはっきりしているといった特徴があるす。

 

 大分県に属するが、筑後川水系にあるため歴史的に福岡県の筑後・筑前地方とのつながりが強い。この地域の方言である日田弁は肥筑方言の特徴を持つ。周囲を山に囲まれた典型的な盆地であり、多くの河川が流れ込み「水郷(すいきょう)」を形成している。

 

古くから北部九州の各地を結ぶ交通の要衝として栄え、江戸時代には幕府直轄地・天領として西国筋郡代が置かれるなど、九州の政治・経済・文化の中心地として発展した。当時の歴史的な町並みや伝統文化は今なお脈々と受け継がれており、私塾「咸宜園」や塾と共生したまち「豆田町」等が教育遺産群として日本遺産に認定されているほか、約300年の伝統を誇る日田の夏の伝統行事の「日田祇園の曳山行事」はユネスコ無形文化財に登録されている。

 

疫病や風水害を払い安泰を祈念するこの祭りでは、絢爛豪華な山鉾が、祇園囃子の音色と共に隈・竹田地区、豆田地区の町並みを巡行し、夜には提灯(ちょうちん)を飾り付けた優雅な晩山の巡行が行われ、祭りは一気に最高潮に達する。

 

勇壮華麗な山鉾が勢ぞろい!「日田祇園祭」|大分のエリア情報|別大興産大分(賃貸)

 

 人口は、62,849人。27,407世帯(2022年228日現在)。

 

 直近の聴覚・平衡機能障がい者数 274人(2021年5月)、手話を日常的に使用するろう者は16人の数(市社会福祉課把握分―2022年3月31日現在)。

 

 身体障がい者の状況の以下の通り。

 

日田市障がい福祉計画(第6期)/障がい児福祉計画(第2期) (PDFファイル: 2.1MB)

 

 

日田市手話言語条例をここに公布する。

令和4年3月26

日田市長 原 田 啓 介

日田市条例第1号

 

日田市手話言語条例

前文

言語は、お互いの感情を分かり合い、知識を蓄え、文化を創造する上で不可欠なものであり、人類の発展に大きく寄与してきた。手話は、音声言語と異なる言語であり、手指や体の動き、表情を用いて意見や感情を視覚的に表現する言語である。

ろう者は、物事を考え、コミュニケーションを図り、お互いの気持ちを理解し合うために、また、知識を蓄え文化を創造するために必要な言語として手話を大切に育んできた。

平成18年に国際連合総会で採択された障害者の権利に関する条約において、言語には手話その他の非音声言語を含むことが明記され、我が国においても、平成23年に改正された障害者基本法において、言語に手話を含むことが規定された。

また、本市においても「日田市障がいによる差別を解消し誰もが心豊かに暮らせるまちづくり条例」において、手話を言語の一つととらえ、意思疎通のための利用や情報取得の手段として拡大が図られることとしているが、手話が日常の様々な場面にまで普及し、ろう者が不便や不安を感じることなく暮らすことのできる社会の実現には十分に至っているとは言えない。

このような状況を踏まえ、手話への理解の促進と手話の普及をこれまで以上に推進し、ろう者が手話を使って地域で安心して暮らすことのできる社会を目指し、この条例を制定する。

 

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話への理解の促進、手話の普及及び手話による円滑な意思疎通の支援に関する基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、市の施策の基本となる事項等を定めることにより、手話を通じて全ての市民が相互に人格及び個性を尊重し、地域で安心して暮らすことのできる社会を実現することを目的とする。

 

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

⑴ ろう者 手話を日常的にコミュニケーションの手段として用い、又は用いようとする聴覚に障がいのある者をいう。

⑵ 市民 市内に居住し、若しくは滞在し、又は通勤し、若しくは通学する者をいう。

⑶ 事業者 市内において事業活動を行う個人又は法人その他の団体をいう。

 

(基本理念)

第3条 手話への理解の促進、手話の普及及び手話による円滑な意思疎通の支援は、手話が言語であるとの認識に基づき、ろう者が手話による円滑な意思疎通を図る権利を有し、その権利が全ての市民に尊重されることを基本として行わなければならない。

 

(市の責務)

第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、手話への理解の促進、手話の普及及び手話による円滑な意思疎通の支援を図るため、ろう者の意見に配慮した上で必要な施策を推進するものとする。

 

(市民及び事業者の役割)

第5条 市民及び事業者は、基本理念に対する理解を深め、市が推進する施策及び手話による意思疎通をはじめとするろう者への合理的配慮の提供に協力するよう努めるものとする。

 

(施策の推進)

第6条 市は、障害者基本法(昭和45年法律第84号)第11条第3項の規定により策定する市町村障害者計画及び障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)第88条第1項の規定により策定する市町村障害福祉計画において、次に掲げる施策を定め、総合的かつ計画的に実施するものとする。

⑴ 手話への理解の促進及び手話の普及に関する施策

⑵ 手話による情報発信及び情報取得に関する施策

⑶ 手話による円滑な意思疎通の支援に関する施策

⑷ 手話技術を持つ人材の養成

⑸ 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める施策

 

(災害時の措置)

第7条 市は、災害時において、ろう者に対し、手話をはじめとする意思疎通の支援その他必要な措置を講ずるものとする。

 

(財政上の措置)

第8条 市は、手話に関する施策を推進するため、必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

 

(その他)

第9条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。

 

 附 則

この条例は、令和4年4月1日から施行する

 

 

 

 

 

 

 

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