大阪府泉大津市市議会は、2023年2月20日、「障害者の権利に関する条約」及び「障害者基本法」において、手話が言語であると位置づけた」うえで、「手話への理解をすすめ、手話を広めることにより、手話を使用しやすい環境をつくり、ろう者とろう者以外の人が相互に人格及び個性を尊重し合いながら共生する地域社会を実現するため」の泉大津市手話言語条例案を可決した。施行は2023年4月1日。
同種の条例は、大阪府では、大阪府、大東市、大阪市、熊取町、堺市、岬町、貝塚市、寝屋川市、藤井寺市、富田林市、四条畷市、岸和田市、和泉市、東大阪市、羽曳野市、高槻市、柏原市、大阪狭山市、交野市、松原市、枚方市、河内長野市、門真市、泉佐野市についで25例目。全国では465例目。
市は、2022年年11月28日(月曜日)から12月27日(火曜日)まで条例の以下の概要案に対するパブリックコメントを行ない、6人から8件の意見が出された(意見と市の考え方)。
条例の概要(案)
手話言語条例(案)の概要 (PDFファイル: 448.7KB)
泉大津市手話言語条例を別紙のとおり制定する。
令和5年2月20日提出
泉大津市長 南 出 賢 一
理 由
ろう者を含む全ての市民が人格及び個性を尊重し合いながら共生する地域社会を実現するため、手話が言語であるとの認識に基づき、手話及びろう者に対する理解の促進並びに手話の普及についての基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、手話に関する施策の基本的事項を定めることにより、手話を使用しやすい環境をつくる必要がある。
これが、この条例案を提出する理由である。
泉大津市手話言語条例
(目的)
第1条 この条例は、障害者の権利に関する条約及び障害者基本法(昭和45年法律第84号)において手話が言語であると位置付けられたことを踏まえ、手話及びろう者に対する理解の促進並びに手話の普及についての基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、手話に関する施策の基本的事項を定めることにより、手話を使用しやすい環境をつくり、もってろう者を含む全ての市民が人格及び個性を尊重し合いながら共生する地域社会を実現することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
⑴ ろう者 手話を言語として日常生活又は社会生活を営む聴覚に障がいのある者及び聴覚に障がいのある児童をいう。
⑵ 市民 市の区域内に居住し、通勤し、又は通学する者をいう。
⑶ 事業者 市の区域内で事業を営む個人及び法人その他の団体をいう。
(基本理念)
第3条 手話及びろう者に対する理解の促進並びに手話の普及は、手話が言語であり、ろう者にとって手話が意思疎通を図るかけがえのない大切な手段であるとの認識に基づき、ろう者を含む全ての市民が人格及び個性を尊重し合うことを基本として行わなければならない。
(市の責務)
第4条 市は、前条に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、手話及びろう者に対する理解の促進並びに手話の普及を図るとともに、ろう者が日常生活及び社会生活において手話を使用しやすい環境を整備するための施策を推進するものとする。
(市民の役割)
第5条 市民は、基本理念にのっとり、手話及びろう者に対する理解を深め、市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。
(事業者の役割)
第6条 事業者は、基本理念にのっとり、手話及びろう者に対する理解を深め、市が推進する施策に協力するとともに、ろう者が利用しやすいサービスの提供及びろう者が働きやすい環境の整備に努めるものとする。
(施策の推進)
第7条 市は、次に掲げる施策を推進するものとする。
⑴ 手話及びろう者に対する理解の促進並びに手話の普及に関する施策
⑵ 手話による情報発信及び情報取得に関する施策
⑶ 手話による意思疎通の支援に関する施策
⑷ 日常的に手話に触れ、手話を学ぶ機会の確保に関する施策
⑸ 前各号に掲げるもののほか、市長が必要と認める施策
2 市は、前項各号に掲げる施策と市が別に定める障がい者の福祉に関する計画との整合性を図るものとする。
(手話を学ぶ機会の確保)
第8条 市は、手話を使用することができる者と協力して、市民が日常的に手話に触れ、手話を学ぶ機会を確保するための施策を推進するものとする。
(教育の場における理解の促進)
第9条 市は、教育の場において、手話に親しむための取組により、児童及び生徒が手話及びろう者に対する理解を深めるよう努めるものとする。
(意見の聴取)
第10条 市は、手話に関する施策の推進に当たって必要がある場合は、ろう者その他の関係者から意見を聴くものとする。
(委任)
第11条 この条例の施行に関し必要な事項は、市長が別に定める。
附 則
この条例は、令和5年4月1日から施行する。
泉大津市手話言語条例(案)要綱
本条例(案)は、ろう者を含む全ての市民が人格及び個性を尊重し合いながら共生する地域社会を実現するため、手話が言語であるとの認識に基づき、手話及びろう者に対する理解の促進並びに手話の普及についての基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、手話に関する施策の基本的事項を定めることにより、手話を使用しやすい環境をつくるため、制定するものであ
ること。
1 目的
この条例(案)は、障害者の権利に関する条約及び障害者基本法において手話が言語であると位置付けられたことを踏まえ、手話及びろう者に対する理解の促進並びに手話の普及についての基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、手話に関する施策の基本的事項を定めることにより、手話を使用しやすい環境をつくり、もってろう者を含む全ての市民が人格及び個性を尊重し合いながら共生する地域社会を実現することを目的とするものであること。(第1条)
2 定義
この条例(案)において、次の⑴から⑶に掲げる用語の意義は、当該⑴から⑶に定めるところによるものであること。(第2条)
⑴ ろう者 手話を言語として日常生活又は社会生活を営む聴覚に障がいのある者及び聴覚に障がいのある児童をいう。
⑵ 市民 市の区域内に居住し、通勤し、又は通学する者をいう。
⑶ 事業者 市の区域内で事業を営む個人及び法人その他の団体をいう。
3 基本理念
手話及びろう者に対する理解の促進並びに手話の普及は、手話が言語であり、ろう者にとって手話が意思疎通を図るかけがえのない大切な手段であるとの認識に基づき、ろう者を含む全ての市民が人格及び個性を尊重し合うことを基本として行わなければならないものであること。(第3条)
4 市の責務
市は、3に規定する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、手話及びろう者に対する理解の促進並びに手話の普及を図るとともに、ろう者が日常生活及び社会生活において手話を使用しやすい環境を整備するための施策を推進するものとするものであること。(第4条)
5 市民の役割
市民は、基本理念にのっとり、手話及びろう者に対する理解を深め、市が推進する施策に協力するよう努めるものとするものであること。(第5条)
6 事業者の役割
事業者は、基本理念にのっとり、手話及びろう者に対する理解を深め、市が推進する施策に協力するとともに、ろう者が利用しやすいサービスの提供及びろう者が働きやすい環境の整備に努めるものとするものであること。(第6条)
7 施策の推進
⑴ 市は、次に掲げる施策を推進するものとするものであること。(第7条第1項)
ア 手話及びろう者に対する理解の促進並びに手話の普及に関する施策
イ 手話による情報発信及び情報取得に関する施策
ウ 手話による意思疎通の支援に関する施策
エ 日常的に手話に触れ、手話を学ぶ機会の確保に関する施策
オ ア〜エに掲げるもののほか、市長が必要と認める施策
⑵ 市は、⑴のアからオに掲げる施策と市が別に定める障がい者の福祉に関する
計画との整合性を図るものとするものであること。(第7条第2項)
8 手話を学ぶ機会の確保
市は、手話を使用することができる者と協力して、市民が日常的に手話に触れ、手話を学ぶ機会を確保するための施策を推進するものとするものであること。(第8条)
9 教育の場における理解の促進
市は、教育の場において、手話に親しむための取組により、児童及び生徒が手話及びろう者に対する理解を深めるよう努めるものとするものであること。(第9条)
10 意見の聴取
市は、手話に関する施策の推進に当たって必要がある場合は、ろう者その他の関係者から意見を聴くものとするものであること。(第10条)
11 委任
この条例(案)の施行に関し必要な事項は、市長が別に定めるものであること。(第11条)
12 施行期日
この条例(案)は、令和5年4月1日から施行するものであること。