和歌山県伊都郡(いとぐん)高野町(こうやちょう)議会は、2022年6月22日、手話が言語であるとの認識に基づき手話に対する理解及び普及を図り、全ての町民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、心豊かに共生することができる地域社会の実現を目指す高野町手話言語条例案を可決した。公布・施行は、7月1日。

 

町は、「手話は、障害者の権利に関する条約や改正された障害者基本法により、「手話は言語である」と位置づけられましたが、町民が手話に接する機会は少なく、手話や聴覚障害に対する理解が深まっているとは言えない状況で、手話を必要とする人が安心して暮らせるようにするには、手話が使いやすい社会にすることが必要でそのため、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に触れる機会を増やすなど、手話を使いやすい環境を整え、町民一人ひとりがお互いに理解し合い、共に暮らすことのできる地域の実現を目指しとしている。

 

 同種の条例は、和歌山県内では、和歌山県和歌山市橋本市日高川町紀ノ川市古座川町印南町みなべ町新宮市田辺市由良町美浜町岩出市串本町海南市かつらぎ町御坊市日高町有田市上富田町すさみ町白浜町北山村有田川町那智勝浦町九度山町太地町についで、28例目。全国では455例目

 

高野山真言宗の聖地の高野町は、高野山を中心とする和歌山県北東部の町で、貴重な文化財・建造物・名所が数多く存在する。2004年には「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録され、日本のみならず世界中から多くの観光客が訪れている。

 

 

高野町手話言語条例

令和471

条例第17

 

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であるとの認識に基づき、手話に対する理解及びその普及に関して基本理念を定め、町の責務並びに町民及び事業者の役割を明らかにするとともに、手話の普及に関する施策を推進するため基本的事項を定めることにより、全ての町民が相互に人格と個性を尊重し合いながら、心豊かに共生することができる地域社会を実現することを目的とする。

 

(基本理念)

第2条 手話は、手話を必要とする人が心豊かな日常生活又は社会生活を営むため、大切に受け継いできた独自の言語体系を有する文化的所産であることを理解しなければならない。

2 手話の普及は、手話を必要とする人が意思疎通を行う権利を尊重し、手話を必要とする人と手話を必要とする人以外の者が相互にその人格と個性を尊重し合いながら共生することを基本に行わなければならない。

 

(町の責務)

第3条 町は、手話に対する理解を広げる取り組み及び手話を必要とする人が手話を使用しやすい環境づくり等の推進に努めるものとする。

 

(町民の役割)

第4条 町民は、手話に対する理解を深め、町が推進する取り組みに協力するように努めるものとする。

 

(事業者等の役割)

第5条 事業者は、基本理念に対する理解を深め、手話を必要とする人を雇用するときは、手話の使用に配慮するよう努めるものとする。

 

(施策の推進)

第6条 町は、次の各号に掲げる施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。

1)手話に対する理解及び手話の普及に関すること。

2)手話による意思疎通の支援の拡充に関すること。

3)前2号に掲げるもののほか、その他町長が必要と認める事項

 

(委任)

第7条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。

 

 附 則

この条例は、公布の日から施行する

 

 

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