手話の市政だより(2023年5月1号)

 

福島県会津若松市(あいづわかまつし)議会は、2023年3月20日、手話が言語であることの普及及び障がいの特性に応じた多様なコミュニケーション手段の利用の促進に関しての基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、その基本理念に基づいた施策の推進について定めることにより、障がいの有無に関わらず、お互いに人格と個性を尊重しながら安心して暮らすことのできる共生社会を実現することを目的とする「会津若松市手話言語及びコミュニケーション手段に関する条例」案を可決し、同日公布・施行した。

 

同種の条例は、県内では、福島郡山市伊達市福島市須賀川市二本松市白河市田村市三春町喜多方市南相馬市本宮市新地町相馬市に次いで15例目。全国では、3例目

 

 市は、2022年1128日(月)から12 27 日(火)まで条例案のパブリックコメントを行い、17 名から31 件の意見があった(意見の要旨及び市の考え方)。条例案の修正はない。

 

 1 条例制定の趣旨

  手話が言語であることの普及及び障がいの特性に応じた多様なコミュニケーション手段(※1)の円滑な利用の促進に関しての基本理念を定め、市の責務をはじめ市民及び事業者の役割を明らかにするものです。

基本理念に基づいた施策の推進を定めることにより、障がいの有無に関わらず、お互いに人格と個性を尊重しながら安心して暮らすことのできる地域社会を実現していきます。

 

2 制定の理由

 ⑴「手話は言語である」

  手話は現在、全国で約6万人が使う言語ですが、過去には口話教育が推進され、手話  の使用が禁止されてきた歴史があります。社会的に手話は言語として認知されず、ろう者(※2)は手話により情報を得ることができず、多くの不安や不便を感じながら生きてきました。ろう者の権利と尊厳を守るためには、手話は日本語とは文法体系が違う一つの言語であり、それが正しく認識され、普及していくことが必要です。

 ⑵「多様なコミュニケーション手段の利用促進」

  障がいのある人(※3)の情報取得については、近年の豪雨等の自然災害や新型コロナウイルス感染症拡大時において、情報が発信されても受け取ることができないといった課題(※4)が明らかになりました。

  このような中、令和4年5月 「障害者情報アクセシビリティ・コミュニケーション施策推進法」が施行され、地方自治体等への責務が規定されました。本市においても、障がいのある人による情報の取得利用、意思疎通に係る施策の推進は、急務の課題です。

 

 

市は、福島県の西部に位置する、磐梯山や猪苗代湖など豊かな自然に囲まれた、自然景観に恵まれたまち。

 

 古事記によると、古い時代には「会津」ではなく、「相津」と表記されていた。第10代崇神天皇(すじんてんのう)の時代、諸国平定の任務を終え、越後からやってきた大毘古命(おおひこのみこと)と常陸からやってきた建沼河別命(たけぬなかわわけのみこと)が出会った場所を「相津」と言うようになったとい。また、会津は、戊辰(ぼしん)戦争によって武家支配が終焉を迎えるまで、中央と地方(奥州)との政治勢力が拮抗する一大拠点であった。

 

 1961年には人口が10万人を突破し、1965年から住居表示実施により、順次、旧町名が新町名に変更され、1965917日には鶴ヶ城(若松城)の天守閣再建工事が落成する。1989年には会津若松市観光公社が設立され、観光業も発展していく。

 

その後は1993414日には会津大学が開校し、19921029日に会津若松ICを含む区間が開通していた磐越自動車道が1997101日に全線(いわき〜新潟)開通し、交通網の充実が図られた。

 

2011312日の福島第一原子力発電所事故により、原発所在地である大熊町の町役場の機能が会津若松に移転した(大熊町役場会津若松出張所)。

 

 市の人口は、114,161人(男;4,722人/女;59,439人)、49,203世帯(2023年2月1日現在)。

 

市の直近の身体障害者手帳所持者数は10,616人(うち主たる障がいが、聴覚・平衡機能障がい949人)(2022年3月31現在)。

 

条例制定にともなう施策と予算額は以下の以下の通り。

○2023年度実施予定施策

 ・条例の啓発パンフレット作成

 ・コミュニケーション支援ボード作成

 ・飲食店の点字メニュー等の作成補助

 ・手話通訳者、要約筆記者養成講座の回数増

 ・職員向け研修

○2023年度予算額

  4,325千円

 

 

 

 

 

津若松市手話言語及びコミュニケーション手段に関する条例

(前文)

 障がいのある人も障がいのない人も、地域で安心して暮らしたいという思いは市民の共通の願いであります。その実現に向けて、お互いに理解し合うことが必要であり、言語をはじめとしたコミュニケーションの手段は、情報を得て意思疎通を図るうえで大切な役割を担っています。

 その中でも、ろう者のコミュニケーション手段である手話は、ろう者が日常生活を営むために欠くことのできない言語であることについて、市民の理解を深め、普及していく必要があります。

 また、障がいのある人が、日常生活において意思疎通を円滑に図るために、障がいの特性に応じた多様なコミュニケーション手段を選択して利用することが大切であり、コミュニケーションの手段についての理解を促し利用しやすい環境を整えていく必要があります。

 これを踏まえ、手話が言語であることを普及するとともに、障がいのある人が必要とするコミュニケーション手段の利用を促進することにより、誰もがお互いに人格と個性を尊重し、地域で支え合いながら安心して暮らす共生社会を実現するため、この条例を制定します。

 

(目的)

第1条 この条例は、手話が言語であることの普及及び障がいの特性に応じた多様なコミュニケーション手段の利用の促進に関しての基本理念を定め、市の責務並びに市民及び事業者の役割を明らかにするとともに、その基本理念に基づいた施策の推進について定めることにより、障がいの有無に関わらず、お互いに人格と個性を尊重しながら安心して暮らすことのできる共生社会を実現することを目的とする。

 

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

⑴ 障がいのある人 身体障がい、知的障がい、精神障がい(発達障がいを含む。)その 他の心身機能の障がい(以下「障がい」と総称する。)がある人であって、障がい及び社会的障壁により継続的に日常生活又は社会生活に制限を受ける状態にあるものをいう。

⑵ 事業者 市の区域内で事業を営む個人及び法人その他の団体をいう。

⑶ コミュニケーション手段 手話言語、触手話、要約筆記、筆談、点字、指点字、拡大文字、音訳、平易な表現、実物や絵図の提示、身振り、重度障害者用意思伝達装置その 他の障がいのある人が情報取得やコミュニケーションで利用するものをいう

⑷ コミュニケーション支援者 手話通訳者、要約筆記者、点訳者、音訳者、盲ろう者向け通訳・介助員並びに障がいのある人への伝達補助等を行う支援者をいう。  

⑸ 社会的障壁 障がいのある人が日常生活又は社会生活を営む上で障壁となる社会にお ける事物、制度、慣行、概念をいう。

⑹ 合理的配慮 障がいのある人の社会的障壁を取り除くことが必要とされる場合に、可 能な範囲で最大限提供されるべき配慮をいう。

 

(基本理念)

第3条 手話が言語であることの普及及び障がいの特性に応じた多様なコミュニケーション手段の円滑な利用の促進は、全ての市民が相互の理解及び人格と個性を尊重することを基本として行われなければならない。

 

(市の責務)

第4条 市は、第3条に定める基本理念に基づき、手話が言語であることの普及及び多様なコミュニケーション手段の円滑な利用の促進のため、必要な施策を総合的かつ計画的に推進しなければならない。

2 前項の施策の推進にあたっては、合理的配慮を行うものとする。

 

(市民の役割)

第5条 市民は、第3条に定める基本理念に基づき、手話言語に対する理解を深めるとともに、多様なコミュニケーション手段の利用の促進のため、市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。

 

(事業者の役割) 

第6条 事業者は、第3条に定める基本理念に基づき、手話言語に対する理解を深めるとともに、多様なコミュニケーション手段により、障がいのある人が利用しやすいサービスの提供及び働きやすい環境の整備並びに市が推進する施策に協力するよう努めるものとする。

2 事業者はその事業活動において、合理的配慮を行うものとする。

 

(訪問者等への配慮)

第7条 市、市民及び事業者は、本市を訪問し、又は本市に滞在する障がいのある人に対して、多様なコミュニケーション手段を利用しやすい環境づくりに努めるものとする。

 

(施策の基本方針)

第8条 市は、第4条の規定による責務を果すため、次に掲げる施策を障害者基本法(昭和45年法律第84号)第11条第3項に規定する市町村障害者計画との調和をとりながら推進するものとする。 

(1) 手話言語を学ぶ機会を提供する施策

(2) コミュニケーション支援者の確保及び養成に関する施策

(3) 多様なコミュニケーション手段についての理解の促進に関する施策

(4) 多様なコミュニケーション手段を利用するにあたっての環境の整備に関する施策

(5) 多様なコミュニケ−ション手段による情報発信を推進する施策 

(6) 災害時における多様なコミュニケ−ション手段による情報取得を確保する施策

(7) 前各号に掲げるもののほか、この条例の目的を達成するために必要な施策

2 市は、前項各号に規定する施策を推進するにあたり、障がいのあ人、コミュニケーション支援者その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めなければならない。

 

(財政上の措置)

第9条 市は、前条第1項の施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

 

(委任)

10 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、市長が別に定める。

 

附 則

 この条例は、公布の日から施行する。

 

 

 

手話の市政だより(202351日号)

 

 

会津若松市は、市政だよりの内容を抜粋して手話で内容を伝える「手話の市政だより」を2023(令和5)年51日号から作成している。

 

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